重荷

重荷というとマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』を思い出す。たしか、スカーレットがアトランタから故郷のタラに這々の体で逃げ帰るシーンで挿入される詩に「辛い重荷」というフレーズがあったような気がするのだ。ぐずぐずとかかっていた論文の草稿がようやく仕上がり、昨日 G 教授に提出。今朝「受領しました」とのメールを受けて一安心。帰路、京浜急行に乗って多摩川を渡りながら、ちょっとした解放感に浸る。2010年の春ごろから取り掛かって、細切れに執筆していたのだが、やっとこさ手を放れた。気の小さい性分なので、論文の残像が視界をぼんやり覆っているような不快感に、常時悩まされていた。これで少なくとも今週末ぐらいは新しい気分になれる。年末に本棚を片付けたので、書物の空間配置が改まり、未読・既読の書物どもが見て取りやすくなった。いまは『IC』とロラン・バルトの『零度のエクリチュール』(僕が読んでいるのは旧版のようだ)に目下取り組んでいる。読み終えたら感想じみたものを書き連ねよう。今年は集中的に読書したい。社会人になって10年目なので、俯瞰的に物事を捉えることができるよう、様々な方法論を試してみようと思う。過去と現在になるべく力点を置きながら、本当に近しい未来のみを問題にできるよう、やっていきたいと思う。新年の抱負を語っていなかったので。

風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

零度のエクリチュール 新版

零度のエクリチュール 新版