読書中・・・。

このごろ通勤の行き帰りで書物に目を落とすようになった。『IC』からはじまり(今週末にでも要約します)、マイケル・ルイス『ニュー・ニュー・シング』を読み終え、いまは岩井志麻子『偽偽満州』を読んでいる(手にしているハードカヴァーはもう売ってないのか・・・)。しかし、志麻子姉さんの描く情事は、生々しいんだか、グロいんだか、表現が難しい。数年前によくMッ気をネタに深夜番組に出演されていましたが、お元気なんでしょうか? ということで、頑張れば1カ月に5冊程度は書物を読破できそう(内容の濃淡に左右されそうですが)。映画を見つつ、書生のごとき生活を目指しております。

2011/01/29追記
『旅すること‐捨てるか、掴むか』

ジェニファー・イーガンの『インヴィジブル・サーカス』(以下『IC』)は、実存を縛り付ける妄想と性的欲求の所在を明らかにし、それらを身体から剥ぎ取って焼き捨てるまでを描いた青春小説だ。
主人公のフィービは大学に進む前の teenager で透明感のある女の子。小さいときに父親を病気で、姉のフェイスを事故で、それぞれ失っている。
彼女の実存は父親と姉の死に投影されており、いまを生きることがない。肩を寄せ合うように暮らしていると思い込んでいた母親から再婚話を切り出され、
動揺した揚句に、姉が事故死したとされるイタリアに向かうことを決めるのだが・・・。

4部に分かれた本作だが、冒頭のフィービがヨーロッパに旅立つのを決意するまでのくだりで挫折する可能性あり。
もう少しストレートに物語を進めても良い気がするのだが。
ヨーロッパに渡ってからはアムスやフランスでクスリをやって飛んだり、姉の元彼と遭遇して性に目覚めたりと、
若者ならちょっとだけ憧れるアウトロー的な雰囲気を醸し出す。
結局のところ、シスコンの話です。姉といっしょのようにやって、やっぱりついて行けないと実感することでしか、
新しい人生を掴み取ることができないという当たり前のことに気づくわけだが、
人間というのは失敗しないと実感できないということなのかもしれない。
内容としてはありきたりなので、たぶん復刻しないでしょう。
そう考えると夢か現かよく分からない筆致の『偽偽満州』のほうが嘘ッぽすぎて面白かった。

ニュー・ニュー・シング

ニュー・ニュー・シング

偽偽満州 (集英社文庫)

偽偽満州 (集英社文庫)